2016年7月 第7回
テーマ:生活行為向上にむけた運動療法〜高齢者の身体機能改善について考える〜
講師:新田 麻美
(川口脳神経外科リハビリクリニック リハビリテーション科 主任理学療法士)
第7回研修会が開催されました。御参加されました皆様に於きましては、当院の研修会に御参加頂きまして誠にありがとうございます。
今回は講義だけでなく、参加者の皆様に片脚立位や握力測定を体験して頂いたことで御自身の身体機能を少し認識することが出来たのではないでしょうか?身体年齢が実年齢よりも上回っていた方はいませんでしたか?少し心配!!という気持ちになられた方は是非、今回の講義内容を意識し生活にいかして頂ければ幸いです。
内容:高齢者の場合、加齢による虚弱の影響が基本にあります。厚生労働省のHP(平成25年度)では要支援を受けた方の主な原因の第2位には高齢による虚弱、第3位は転倒・骨折となっています。そこからも易疲労・筋力低下が引き金になり、転倒のリスクが高まっていることも容易に考えられます。そこで、今回はその筋量・筋力低下「サルコペニア」、ロコモティブシンドロームの内容を中心に分かりやすく説明して頂きました。
一般的には50〜80歳までに30〜40%の筋量・筋繊維は減少し、筋力が低下するといわれています。筋力は文献でも散文されているように高齢者でも増加しますが、最大負荷量の80%以上、8〜12回、2〜3セットを週3回以上の運動で約12週間かかるとされています。しかし、高齢者の方にそのような高負荷での筋力増強訓練をすることは現実的ではありません。
加齢による虚弱やサルコペニアの早期発見は転倒予防や介護予防につながります。講義の中でもあったように、筋力増強のための「運動」は基礎的な体力の向上にとっては大事ですが、生活行為の改善ためには「運動」だけでなく、疾患特性をふまえ、動作につながる運動学習を促す必要があります。
今回の講義では筋力増強訓練一辺倒の運動療法でなく、運動学習に対して工夫し、改善された介入事例を提示された事で非常に分かりやすかったのではないでしょうか?参加された方のアンケートからも非常に高評価を頂きました。
当院では、毎月リハビリテーションに関わる研修会を開催しております.ご興味が御座いましたら是非とも皆様お誘い合わせの上、御参加下さいませ。
(文責:リハビリテーション科 中川)